「時間を見るならスマートフォンで十分」
普段の生活では、そう考える方も多いのではないでしょうか。
スマートフォンがあれば、時間だけでなく、電話、メッセージ、地図、ニュース、防災情報まで確認できます。
しかし、大規模災害では、スマートフォンがいつも通り使えるとは限りません。
停電によるバッテリー切れ、通信障害、落下や水濡れによる故障など、普段は考えないような問題が起こる可能性があります。
私は20年以上、消防士として災害現場や救助活動に携わってきました。
東日本大震災の際には、津波の到着予定時刻など、消防活動中も常に時間を気にしながら活動していました。
時間管理ができなければ、自分だけでなく、共に活動する隊員を危険にさらしてしまう。
そんな恐怖心があったからこそ、私は消防士として働く中で、時計選びにもこだわってきました。
実際に大規模災害ではスマートフォンのバッテリーがなくなり、使えなくなった経験もあります。
この記事では、こうした実体験をもとに、災害時に腕時計を備える意味と、防災用として選ぶときのポイントを解説します。
災害時に腕時計は必要なのか?
結論から言えば、腕時計は必ず準備しなければならない防災用品ではありません。
しかし、私は防災用品の一つとして、腕時計を持っておくことには十分な意味があると考えています。
理由はシンプルです。
スマートフォンとは別に、時間を確認できる手段を持っておけるからです。
災害時には、スマートフォンのバッテリーが非常に重要になります。
家族との連絡、防災情報の確認、地図の確認など、スマートフォンにしかできないことがあります。
その一方で、「今何時なのか」を確認するだけなら、スマートフォンを使う必要はありません。
腕時計があれば、手元を見るだけで時間を確認できます。
防災では、便利なものを揃えるだけではなく、一つの機器に頼りすぎないことも大切です。
東日本大震災で実感した「時間管理」の重要性
私が腕時計を重要視するようになった大きな理由の一つが、東日本大震災です。
当時、消防活動を行う中で、私は常に時間を気にしていました。
津波の到着予定時刻などを意識しながら活動する必要があり、災害現場では「時間」が単なる時計の数字ではありませんでした。
時間管理を間違えれば、隊員を危険な状況にさらしてしまう。
そうした恐怖心を持ちながら活動していました。
消防活動では、現場の状況だけを見て判断するのではなく、経過時間や周囲の状況など、さまざまな情報を組み合わせて判断する必要があります。
だからこそ、消防士として勤務してきた私は、腕時計を選ぶときにも、
「正確に時間を確認できるか」
「過酷な環境でも使えるか」
「活動中でもすぐ確認できるか」
という点を意識するようになりました。
【実体験】災害時にスマートフォンのバッテリーがなくなった
大規模災害を経験して、もう一つ強く感じたことがあります。
スマートフォンは、バッテリーがなくなれば何もできなくなるということです。
実際に災害時、スマートフォンのバッテリーがなくなり、全く使えなくなった経験があります。
普段なら当たり前のように使えるスマートフォンが、バッテリー切れによって突然使えなくなる。
これは災害を経験してみなければ、なかなか実感できないことかもしれません。
もちろん現在はモバイルバッテリーなどの備えもあります。
しかし、大規模停電が発生した場合、充電できる環境がすぐに確保できるとは限りません。
その点、一般的な腕時計はスマートフォンのように毎日充電する必要がないモデルも多く、時間を確認するためだけなら、スマートフォンとは別の手段として非常にシンプルです。
私はこの経験から、
「スマートフォンが使えなくなったときに、代わりになるものを持っておく」
という考え方が防災では大切だと感じています。
消防活動ではスマートフォンを操作しにくい
もう一つ、消防活動を通じて感じてきたことがあります。
それは、災害現場ではスマートフォンそのものを操作しにくいということです。
消防活動では手袋を着用していることがあります。
その状態でスマートフォンを取り出して操作するのは簡単ではありません。
さらに、現場では両手を使って活動する場面もあります。
私は実際の活動の中で、手が塞がっている状態で転倒した隊員を目の当たりにした経験があります。
もちろん、転倒の原因は一つではありません。
しかし、災害現場では、
「手を自由に使える状態を確保する」
ことそのものが重要になります。
腕時計なら、手袋を外してスマートフォンを操作する必要はありません。
手元を見るだけで時間を確認できる。
このシンプルさは、普段の生活では小さな違いに感じても、活動中には大きな意味を持ちます。
災害時に腕時計が役立つ3つの理由
ここまでの経験から、災害時に腕時計が役立つ理由を整理してみます。
スマートフォンのバッテリーを温存できる
災害時、スマートフォンのバッテリーは貴重です。
家族への連絡や災害情報の確認など、本当に必要な場面で使えるようにしておきたいものです。
時間を確認するためだけなら、腕時計を使うことでスマートフォンの使用を減らせます。
通信環境に左右されない
腕時計で時間を確認するだけなら、携帯電話の基地局やインターネット環境は必要ありません。
災害によって通信障害が発生しても、時計そのものが正常に動いていれば時間を確認できます。
もちろん、電波時計の場合は電波を受信して時刻を自動修正する機能がありますが、電波を受信できない状況でも、時計そのものが動いていれば時刻表示はできます。
ここは「通信がなくても腕時計なら必ず正確」という意味ではありません。
大切なのは、スマートフォンとは異なる方法で時間を確認できることです。
暗い場所でも時間を確認できる
停電時には、夜間だけでなく建物内などが突然暗くなることがあります。
そのため、
- 夜光表示
- バックライト
- LEDライト
などを備えた時計は便利です。
ただし、腕時計のライトはあくまで時間確認用です。
避難時の照明としては、懐中電灯やヘッドライトなどを別に準備しておきましょう。
防災用の腕時計を選ぶ4つのポイント
では、実際に防災用として腕時計を選ぶなら、何を確認すればよいのでしょうか。
私なら、次の4点を重視します。
電池交換や充電の負担が少ない
災害時のことを考えるなら、長期間使用できる時計が便利です。
例えば、
- ソーラー充電式
- 長寿命電池モデル
などがあります。
特にソーラー充電式なら、普段から光に当てて使用することで、電池交換の頻度を抑えられます。
ただし、ソーラー時計も永久に動くわけではありません。
防災用品だからこそ、普段から使用して状態を確認しておくことが大切です。
水や雨に強い
災害時には、雨や水に濡れる可能性があります。
台風や大雨、洪水などを考えると、防水性能も確認しておきたいポイントです。
特にアウトドアなどでも使うのであれば、日常生活用より余裕のある防水性能を持つ時計を選ぶと安心です。
ただし、「○気圧防水」と表示されていても、どんな状況でも水中で使用できるという意味ではありません。
メーカーが示す使用条件を確認して選びましょう。
衝撃に強い
災害時は、普段より時計に衝撃が加わる可能性があります。
避難中に壁や荷物にぶつけたり、転倒したりすることもあります。
そのため、私は防災用として考えるなら、耐衝撃構造を備えた時計を選びたいと思っています。
消防活動のような環境では、時計は単なる装飾品ではありません。
壊れずに動き続けてくれることが重要だからです。
④ 暗い場所でも確認できる
停電や夜間の避難を考えるなら、暗い場所で時間を確認できることも重要です。
夜光表示やバックライトなど、暗い場所でも時刻を確認できる機能があると便利です。
私が2年半使っているG-SHOCK「MUDMASTER」
ここからは、私自身が実際に使っている腕時計について紹介します。
私が現在使用しているのは、G-SHOCKのMUDMASTERです。
この時計は、現在まで2年半ほど使用しています。
私が気に入っているのは、過酷な環境でも使いやすいところです。
特に気に入っているのが、方位を針で示してくれる機能です。
災害現場では、周囲の状況によって方向感覚を失う可能性があります。
もちろん、方位計だけに頼って行動するものではありません。
しかし、腕元で方位を確認できることは、アウトドアや災害時の補助的な情報として心強いと感じています。
また、MUDMASTERは粉じんなどがある環境にも配慮された構造になっています。
消防活動では、一般的な日常生活とは違う環境に入ることがあります。
そのため、私はこの頑丈さを気に入っています。

- カシオ MUDMASTER
- 耐衝撃構造
- タフソーラー(ソーラー充電システム)
- 防塵・防泥構造
- 耐振動構造
- 20気圧防水機能
- 電波受信機能:自動受信(最大6回/日)(中国電波は最大5回/日)/手動受信
- 方位計測機能:
- 温度計測機能(計測範囲:-10~60℃)
- ストップウオッチ(1/100秒、24時間計、スプリット付き)
- タイマー(セット単位:1分、最大セット:60分、1秒単位で計測)
- 時刻アラーム5本・時報


MUDMASTERを2年半使って感じたこと
実際に2年半使ってきて、特に良いと感じているのが、
防水性・耐衝撃性・ソーラー充電
です。
ソーラーによって充電できるため、私はこれまで一度も電池交換をしていません。
災害時のことを考えると、電池交換や頻繁な充電を気にしなくていいのは大きなメリットだと感じています。
また、時計自体に少し厚みがあります。
一般的な腕時計と比較すると、決して薄い時計ではありません。
しかし、私は消防活動時にその厚みを気にしたことはありません。
むしろ、
「これなら多少ぶつけても大丈夫だろう」
という安心感があります。
消防活動を経験してきた私にとっては、時計の厚みよりも、過酷な環境でも動き続けてくれることの方が重要です。
ただし、MUDMASTERが誰にでも必要なわけではない
ここは、あえて書いておきたいと思います。
私はMUDMASTERを気に入っていますが、一般家庭の防災用として、MUDMASTERのような高機能な時計が必ず必要というわけではありません。
普段からアウトドアをする人や、丈夫な時計を長く使いたい人には向いているでしょう。
一方、
「時間が分かれば十分」
という人なら、もっとシンプルなソーラー式・防水・耐久性のある腕時計でも十分です。
防災用品は、高価なものを揃えることが目的ではありません。
自分の生活や用途に合ったものを選ぶことが大切です。
防災時計より先に準備しておきたいもの
ここまで腕時計について紹介してきましたが、腕時計は防災用品の中で最優先というわけではありません。
まずは、
- 水
- 食料
- 携帯トイレ
- 懐中電灯・ヘッドライト
- モバイルバッテリー
- 救急用品
- 防寒用品
など、災害時の生活や安全に直結するものを準備することが大切です。
腕時計は、それらを準備したうえで、
「スマートフォンが使えなくなったとき、時間をどう確認するか」
を考える中で、選択肢の一つになります。
防災時計は「非常時だけ使うもの」にしない
私がおすすめしたいのは、普段から使える腕時計を防災にも活用することです。
災害時だけ取り出す防災用品は、いざというときに使い方が分からないことがあります。
一方、普段から使っている時計なら、
- 操作方法が分かる
- 時計の状態を確認できる
- 自分の腕に馴染んでいる
- 災害時にも迷わず使える
というメリットがあります。
防災用品は「非常時専用」と考えるだけではなく、日常生活と防災を兼ねるという考え方もできます。
防災用腕時計のチェックリスト
腕時計を防災用品として選ぶなら、次の項目を確認してみてください。
□ スマートフォンとは別に時間を確認できる
□ 電池交換や充電の負担が少ない
□ 雨や水濡れに対応できる
□ 衝撃に強い
□ 暗い場所でも時間を確認できる
□ 普段から使いやすい
□ 自分の用途に必要な機能がある
□ 防災用品としての優先順位を考えて購入する
まとめ|腕時計は「スマホが使えないとき」を補う防災用品
災害時に腕時計は必須ではありません。
しかし、私は消防士として災害現場を経験してきたからこそ、スマートフォンとは別に時間を確認できる手段を持っておくことには意味があると考えています。
東日本大震災では、津波の到着予定時刻などを意識しながら消防活動を行いました。
時間管理を誤れば、隊員を危険にさらしてしまう。
そんな恐怖心から、私は消防士として時計選びにもこだわってきました。
実際に災害時にはスマートフォンのバッテリーがなくなり、使えなくなった経験もあります。
また、消防活動では手袋を着用しているためスマートフォンを操作しにくく、両手が塞がることの危険性も目の当たりにしてきました。
だからこそ私は、
「災害時にスマートフォンが使えない可能性を考えておく」
ことが大切だと思っています。
腕時計に必要なのは、必ずしも高価な機能ではありません。
長く動く、水や衝撃に強い、暗い場所でも見やすい。
まずは、このような基本性能を確認してみてください。
私が使用しているMUDMASTERのような高機能な時計が必要な人もいれば、もっとシンプルな時計で十分な人もいます。
大切なのは、自分の生活や災害への備えに合った道具を選ぶことです。
防災とは、特別な道具をたくさん買い揃えることではありません。
「もしスマートフォンが使えなくなったら?」
「停電したら?」
「家族と連絡が取れなくなったら?」
そんな「もしも」を一つずつ考えて、困る可能性を減らしていくことです。
その備えの一つとして、腕時計を見直してみてはいかがでしょうか。


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